なんとかならないかな…

愚痴にっきです

娘がうまれてから

娘が生まれて、少年ジャンプのまんがのように、たぶん私というお話の主人公は私から娘に交代したのだなと思った。私は脇役として娘を支えることで活躍していこうと思った。本当に時間と体力と精神のほとんどを娘のために使っていたけど、それが、38年間、世の中の役にはあまりたってこなかった自分のせめてもの世の中に与えられた役目なんだと思って頑張った。その頃、一番頭の中にうかんだのは「プラトーン」とか「フルメタルジャケット」とかのベトナム戦争映画。自分は「育児」という戦闘に徴兵されている時期なんだと思った。

でもやがて、娘も学校に行くようになってから、ちょっとずつ時間の余裕ができてきて、私は私が主語になる心持ちを取り戻していけるようになった。

 

そして3年前から、ずっと描いてきた展覧会用の絵と並行してまんがを描き始めるようになった。それまでまんがは、10代の頃からなかなか自分の思い通りにお話を作れなくて諦めていたけど、いくつかのきっかけと思い切りを経て描いて、発表しはじめてみたら、本当に面白いし楽しいし、少ない人数だけど私の描いたものを気に入ってくれる人たちも現れて、そのうち自分で本をつくるようになり、交流も増えて…とここ3年は本当に楽しかった。私の作った作品の中の世界が、私のもう一つの大事な居場所になった。

 

しかし並行して、娘の心の問題が急に悪化して、だんだん学校にいけなくなっていった。私はまんがを描き始める前もあとも、時間でも気持ちの上でも、娘をないがしろにして自分の事にかまけているようなつもりはなかったのだけど、私が私自身を主語にする生き方と物語世界っていう居場所を取り戻していくうちに、娘を産む前の私のもともとの自己中心的な性質が戻ってきてしまったのかもしれない、それが娘に苦痛を与えているのかもしれないと思って悩んだ。罪滅ぼしをしなくてはいけない、それからまた躍起になって、常に娘に寄り添って気持ちを汲んで、気の利いたアドバイスのために頭をひねり、激励し、たまに怒ったり泣いたりして、なんとかハッピーになってもらおうと四苦八苦していた。まるで2、3歳の時代に戻ったみたいに、「戦争」がまた始まった感じだ。そのうちにすっかりくたびれ果ててしまった。

 

でも、娘に元気になって元のように日中、家から出て行っててもらいたいっていうのもあるけど、本当にほしいのはそれによってできる自分の時間だし、休みたいし、また作品を作りたい。それって人の道に外れたようなすごい図々しい事なんだろうか、高望みなんだろうか。